個々人の生活を貧困から守る、ネクストマーケットとしての「クッションマーケット」の必要性生と「地方税寄付システム」etc

ここでいう「ネクストマーケット」とは、栄治出版「貧困層を顧客に変える次世代ビジネス戦略」という本をさしているのではない。文字通り、「これまでの個々人の生活を変える新たな市場の創造」という意味である。具体的には、個々人の生活の衣食住を満たすための新たな市場を創るべき、という考えだ。目的は、労働市場たら漏れた人々の生活手段を守る。しして、貧困削減。

★現在の経済システムは、失業したり、出産・子育(特に、貧困層に陥りやすい母子家庭)が理由で一度(特に正規)就業状態から離れた場合、新たな正規雇用の機会が得られにくい社会だ。これは、実際僕自身も経験している。

(余談だが、終身雇用が崩壊した現在では、新卒で就職せずに人生の目的・生涯奉仕できる職業や生き方を探して、20代半ば、若しくは後半で本格的に職業い就く若者も多い。学生を中心に社会起業家という生き方が脚光を浴びているのも、単に会社人間という生き方で終わるのではなく、人生の目的と社会貢献を果たしている、という社会の中での存在意義を実感できる生き方を目指したいという若い世代の意志の現われだと思う。)

★上記のような現在の雇用システムで一度就労機会から離れた場合、商品を生産できる資本を所有していない大半の個人は、どのように収入を得ればよいのか。

言い換えれば、「組織に属さない個人」と、「生活する為に必要なお金の入手へのアクセス」との距離が、開きすぎている。最近はネットの発達で自己開業できる機会も増えたが、大半の人は、労働市場に参加そして生活手段を得る必要がある。現在は、あらゆる業界・業種でM&Aやリストラが行われる「産業突然死時代」(大前研一氏より)であり、また昨今の様な不況下では、生活者自身の「経済的主権」を取り戻す仕組みづくりが必要だろう。

★以前から僕が考えているのは、これまでの労働市場を経由しない「個々人の時間の使い方」で、生活の手段は得られないのか、という事だ。なぜなら、「労働市場にまで到達できない労働者」は非常に増えており、生活手段を自ら獲得する機会すら得られない、という残酷な状況を変える必要があると思うからだ。

★現在の資本主義経済というシステムは、「通貨」という生活の為の交換可能な手段が、地域経済から、グローバル経済まで「一階層」の交換の場でしかないという、非常に脆弱なシステムの上に成り立っている。世界で60億人以上の人々が生きている現在、この「一階層の市場」システムに生活の基盤を委ねているリスキーな生き方に警鐘を鳴らさなければならないのではないのか。分かり易く言うと、世界の通貨は、大きく分けて、米と各国ドル、ユーロ、円などの複数の種類から構成されるが、これを縦のレベルでも数回層の交換システムを創るべきだと思う。

★僕は、経済のグローバル化を否定するなんていうものではない。むしろ、それによる恩恵をさえぎってはいけないと思っている。また、それと反対の「ブロック経済圏」の構築を推進しよう、というのでもない。
大切なのは、「商品生産の資本を持たない個々人の日常の生活手段の入手方法を、もっと生活者の手に」、つまり「生活者主権の市場の構築」案だ。

★そこで僕がシステム的にも実現可能だ、感じるのが、今回のテーマの(モバイル)ネットを使った市場の創造、特にオークションを介した「クッション市場」の創造だ。
これは、以前の日記に書いた「地域通過市場」創造に似ている。これは、「市場」という側面から、貧困層を救う考えだ。たとえ仮にこれまでの市場で金融危機が起きて、個々人の生活にまで影響をおよぼすとしても、実体経済・実際の生活に密着した生活手段の交換が行われる市場の構築だ。

★市場構築について:「新たな市場」の構築というと、非常にスケールが大きく実現なんて無理という考えが大半かと想うが、逆に僕は、割と身近にその手段はあると感じていた。

市場とは、そもそも需要者と供給者が自由に参入できる環境と、その器のことだと想う。であれば、時代の恩恵そのものたるインターネットでの「オークション(後悔売買・交換)」が、まさにそれではないのか。
ヤフーやebayのオークションというと、安易なイメージがあるだろうが、ここをたたき台にして応用可能性を考え発展させていく事は、十分実現可能性があると感じられるのではないだろうか・

★僕の考えでは、「人的資本」そのものを交換可能な「通貨」(人的通貨)とみなして(=「時間通貨」)、ネットによる自由取引の市場の中でサービスなどの需給を売買しあう事で、生活に必要な食料や物品と交換できる市場の創造が必要だと考える。商品対象は、無形であるほうが、可能性は大きいかもしれない。才能、時間、工夫、心遣い、リーダーシップ、対人関係、優しさ、など、これまで明確に商品化されてこなかった、目に見えないもの、こと。たとえば、老齢世代が増えるのに対応した、話を電話で聞いてあげる「話し相手・聞き役」サービスやこれらを「自分史」として記録するサービス、老齢者の代わりに買い物に行ってあげたり、一人で寂しい生活の方に、ある家族を本当の家族の様に接して心を通わせ、和ませるサービス、寝たきりで歩けないが綺麗な桜が咲く川原に、依頼人の代わりにビデオを撮ってきてあげる、またそれをみて喜んでいるビデオを、都会で暮らす息子夫婦に見せるサービス、など。。。今までデメリットとしてしかみなされなかった、家族が疎遠になっている事実自体を、商品化する、などなど。これにより、サービスの供給の対価に「円」通貨や、逆のサービスを受ける権利(権利自体はやはり証券化可能で、更に売買可能)、その市場限定通貨としての「ポイント通貨」などの多様な支払い方法が考えられる。若しくは、オークション方式でそもそも値段を提示してあるので、PAYPALなどのクレジット決済、銀行振込みなどでもよいだろう。

★この市場創造の原資は?
たとえば、最近ネット上で公開されていた、地方税(住民税など)の支払いの一部を、地元の地域活性化のために「寄付」する形で地方自治体に支払えば、「納税」と同様の扱いになる、というシステムを使うことでまかなえると思う。

★貧困問題は、「マイクロクレジット」とは全く別の新たな「市場(人的資本自由の交換場)」フェーズからのアプローチでも解決できるのではないか、と想う。すなわち、「労働市場」から漏れた人の人的資本を商品化する市場で対価を得られるシステム構築である。

いや、もしくは、この両方からのアプローチのハイブリッド型で行うと、非常に大きな効果が期待できるかもしれない。

★僕がここで重要だと想うのは、今はインターネットで自由に交換・取引可能な巨大なスペースがあり、「多種多様な市場そのものを、個々人でも構築できる」、という事実が存在する事である。

今までは、人的資本は、「プロ」か「アマチュア」でお金がもらえるかどうかというのは、ALL or NOTHING!!だった。しかし、上記の様に市場自体の創造が個々人で可能になった現在、非常に少ない「プロ」ではないが、多く存在する「レベルの高いアマチュア」の持つ潜在的可能性を「換金性」作物へと変えることは可能だと想う。これらの人々を、NHKの「ようこそ先輩」的に学校に派遣し、地元で育プロに近い才能を持ったアマチュアの方々、または元プロの方々を「講師」として教育業界で活躍してもらう。教育業界は、常に身近なロールモデルの存在が不可欠だから、需要が尽きる事はない。また、サービス供給側の評価も厳しくし、一定基準を超えれば、地方自治体、国家資格にまで発展させ、サービスの信用度を高める仕組みづくりも可能だろう。


★テーマは少し変わるが、現在、金融業界で様々な分野での「証券化」が進んできているが、僕が創造すべきだと考えているのは、「人的資本の証券化」だ。これは、もう一部で存在するかもしれないが、「役者・俳優・作家・音楽家・画家・スポーツ」などの分野で若いながらも、若しくは老齢でも、年齢に関係なく素晴らしい才能をもった人で、今後社会的に広く活躍が期待される人に対して、長期的視野で投資して、その資金を使って得た利益の一部をリターンとして投資家に還元する市場の創造案など。あらゆるジャンルの才能は、教育コンテンツの対象となり得ると思う。これをもっと流動化させることで、子どもたちの創造力を大きく開花できるはず。

★★実際に僕が学生時代に必要だと思っていたのは、「旅人・冒険家支援ファンド」だ。僕が憧れていた学生時代の先輩でもある石川直樹氏が人力だけで北極から南極まで7カ国8名の若者で旅をするプロジェクトや、同氏が世界最年少で世界7大陸の最高峰の登山をするときは、旅行記を出版する事を出版社と契約し、先に出版社に原稿料を前借し、それを旅の資金に充てるといっていた。

学生時代に僕は長期休暇には自転車で日本、マレー半島縦断、アメリカ大陸横断旅行などをしてきたが、この資金稼ぎには学期のかなりの部分を死ぬほどアルバイトして賄っていた。それでも足りない事があった。それを補う形で資金を提供、貸してくださった方が毎回いらっしゃった。「冒険の様な旅は若い自由な時しかできないが、若いうちはお金がない。私は仕事をしてお金があるが、長期間自由に使える時間がない。応援資金は、旅の写真や土産話を聞かせてくればお金は返さなくていいよ。」と言ってくださった。

僕の親友のYusuke otomoが自転車でシルクロードを横断するときなどには、微力ながら応援させてもらった。2年後彼は、自転車で地球一周の冒険に出発するので、僕はこれをシステム化できないかと考えている。
もちろん、出資者へのリターンは、あくまで一例だが、元サッカー選手の中田英寿氏のnakata.net(http://nakata.net/jp/index.htm)の様に、旅での体験を出資者とシェアする事が必要だと思う。若しくは、
地平線会議(http://www.chiheisen.net/)のような冒険的な旅、普段ではなかなか個人では行く事のできないところを旅してきた人たちの話に関心のあるコミュニティや、教育の場で経験をシェアする事が大切だろう。

★僕は、マイクロファイナンス貧困層の削減に大きく貢献する事を信じているが、他方で人々のコントロールを超えた、市場の暴走の破壊性を改善する行動を起こさないと、貧困層の削減という問題は、解決し得ないと思う。

先日の日記の「未来を写したこどもたち」という映画のような、「民主主義を草の根から」と同じように、市場のコントロールも、「実体の生活者の手に取り戻す」ことが、大切だと思う。


眠くて話がまとまらず抽象的になってしまったが、完結にまとめたものは、後日改めて。。。