社会起業 資本主義システムのセーフティネット構築

先日の日記で書いたが、現在の経済システムには、人の行動がお金にレスポンスされるまでに少々距離がありすぎると思う。もっと人々の生活と身近な行動の間に、経済的な交流がないとマネー資本主義の前に犠牲者が出る事を防げない。僕がこの考えに至ったのは、アメリカで生まれたサブプライムローン金融危機が、世界中に広まり人々の雇用・経済生活を破壊していることへの懐疑の念からである。マネー経済のシステムは、株価などの経済的指標・数字のみが一人歩きし、実体経済・ひとびとの生活を反映したものとは限らない。であるのに、あっという間に一生稼ぎきれない負債を負ってしまう事がある。すなわち、実際の生活から離れたシステムが、知らないうちに自分たちの生活環境を一変させてしまう。
これでは、安心して人間らしい生活をおくることはできないのではないか。

そこで僕の考えでは、マネー経済から人々の生活を安定的に守る為の地域コミュニティの経済のバリアーを張る、という案である。
人々の些細な日常生活での他者・社会への行動(特に助け合う行動)に対して、地域の人々の間で流通しうる地域通貨の導入が有効だと思う。

人間は、社会的に意味があると思う行動に対しても、何らかの対価があられないと行動しないものだろう。なので、人の行動に対して、社会的に、または個人的に意味・価値のある行動に対して、インセンティブを与える事で自然発生的な行動の流通を促す。少々物々交換経済のような気がするが、だからこそ人の生活に根付いた行動が生まれるのだと考えられる。

特に、子供と子育ての中心となる母親・女性の力が社会を変えていく中心になると思う。母親たちは、子育てに関係する、地域社会の事をよく知っている。母親だけではなく子育てに力を注ぐ父親も同様だろう。子供を中心としたコミュニティである学校、公民館や図書館、両親と一緒に行くスーパーなどに、地域通貨の富を多く配分するシステムの構築が有効だろう。
ということは、これらを地域通貨の中心となる銀行の拠点を置けばよいことになるか。

時間の都合であまり書けないが、要は人の行動と経済の間の隙間を埋める事を考えたら、そこに新たな市場が生まれるということである。これらの間は本当に大きいので見えていない人が多いだろうが、この隙間が大きいほど、市場の可能性も大きくなる。とういことは、変革できる余地も大きくなるということだ。

少し話が飛躍するがこの応用として、いろいろな小売店でポイントカードを創っているが、あれは消費者側からすると、ポイントが分散されすぎて本当に管理しずらく、流通性・流動性も高くない。これらのカードのポイントを統合すれば、消費者側のニーズに応えられる。すると、消費をかなり促せる。
始めは導入コストが高くつくかもしれないが、消費者のインセンティブには必要だろう。これが徐々に・かつ持続的に消費を促し、導入コストを越えられる。

世の中の仕組みを「お金」という考えで捉えるのではなく、「流通性」「流動性」という言葉で捉えると、人の動き、企業、行政、地域社会の間に流れる「風」のようなものの存在と、その可能性の大きさが見えてくる。そしてその「風」は、風力発電をの様な「しくみ」を創ってやる事で、世の中に新たな「関係性」を生み出すことができる。
世の中には、「関係性」という名の「市場」がたくさんある。

多くのNGOの様に、善意に「頼る」だけでは持続可能性は低いかもしれない。しかし、その「善意に対価を払う市場」は永続性を持ちうる。

これが社会起業の起爆剤だと考えている。