東欧映画

この一週間で以下の2つの映画を観た。
ブダペスト市街戦1956 ソビエト軍侵攻ーハンガリー
・4カ月、3週間と2日ールーマニア1987年当時の若者・女性の生き方を描いた映画。2007年 カンヌ映画祭 パルムドール受賞作品。これは、女子大学生の妊娠・堕胎をリアルに描いた衝撃的な映画。当時、ルーマニアでは堕胎が禁じられていた為、闇の堕胎産科医が手術を行っていたという。

僕は、東ヨーロッパの社会、文化、人の生き方とそれらの変化に非常に興味がある。
冷戦時代から、東欧はソ連支配下で人々の暮らしには本当の自由の光は手に入りがたいものだった。その暗い影、人生の重さに、日本に生きる僕らが忘れかけている人生の本質が色濃く残っているように感じるからだ。

ところで、最近買った本がある。
岡本太郎
・「人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。」
彼の言葉には、人生の本質を突いた強烈な力に満ちている。
僕は、かれは、言葉、絵とともに、まだ生き続けていると思っている。
いや、死ぬ事はないだろう。
彼の強烈な生命力は、「太陽」「鮮血」「むき出しの心臓」「死ぬ事を免除された人間」だと思う。パブロ・ピカソゲルニカに並ぶ、反戦の大作「明日の神話」を見ると、それが解る。岡本太郎は、ピカソを凌駕したと感じられる。命の恩師といえるだろう。

また、ジャンルは異なるが、「深夜特急」の著者沢木耕太郎氏も人生の本質を美しく読者に伝える文章を書かれる。
・「世界は使われなかった人生であふれてる」
これは映画評だが、映画を通して、人は誰でもスクリーンの向こう側に生きる可能性があることを示唆し、時間の経過が流してしまった「ありえたかもしれない別の私」の人生を、また取り戻せるかもしれない、というやさしいメッセージを届けてくれる。

また、この本は、ロシアや東ヨーロッパなどのなかなか触れることのできない映画の紹介をしており、日本やアメリカなどとは離れた「別の世界に生きる人の人生」を教えてくれる。

「過ぎてしまった時間・人生」への見方を広げてくれる、とても優しい本である。